社会保険労務士試験 第56回(令和6年) 選択式|過去問解説 「労働者災害補償保険法」

※本情報は解説作成時点のもので、閲覧時点では法改正等により情報が変更になっている場合がございます。あらかじめご理解いただければ幸いです。

正解は「A:8 B:5 C:月の翌月 D:自己 E:被扶養利益の喪失」です。
障害等級の繰上げ規定、年金給付の支給期間、未支給保険給付の請求主体、そして遺族補償年金の損害補填の性質について理解しているかが問われています。

この記事では、社会保険労務士試験(第56回・令和6年)選択式の「労働者災害補償保険法」に関する問題について、条文のポイントと判例の考え方を整理しながら解説します。

障害等級の繰上げ(労災保険法施行規則14条)

障害が複数ある場合=重い等級+繰上げ規定

労災保険法施行規則第14条では、障害補償給付の障害等級は別表第1によると定められています。
複数の身体障害がある場合、原則として最も重い障害の等級によって判断します。

ただし一定の場合には等級の繰上げが行われます。

  • 第8級以上の障害が2以上ある場合 → 等級を2級繰上げ
  • 第5級以上の障害が2以上ある場合 → 等級を3級繰上げ

このような繰上げ規定は社労士試験でも頻出のため、等級の数字を正確に覚えておくことが重要です。

年金たる保険給付の支給期間

年金給付=事由発生月の翌月から支給

年金形式の保険給付は、支給事由が生じた月の翌月から支給が開始されます。そして、支給を受ける権利が消滅した月で終了します。

これは社会保険制度でよく見られるルールであり、年金給付では「翌月開始」という形が基本となります。

未支給の保険給付の請求

保険給付を受ける権利者が死亡した場合、まだ支給されていない保険給付があるときは、その者と生計を同じくしていた一定の遺族(配偶者・子・父母など)が自己の名で未支給保険給付を請求できます。

ここで重要なのは、「相続」ではなく遺族自身の権利として請求する点です。この点は試験でよく問われます。

遺族補償年金の目的(最高裁判例)

最高裁判所は、遺族補償年金の性質について次のように判断しています。

遺族補償年金は、労働者の死亡によって遺族が被る被扶養利益の喪失を補填することを目的とする給付です。

この損害は、民事上の損害賠償における「逸失利益」と同じ性質を持つとされており、両者の間には相互補完関係があります。そのため、遺族補償年金が支給される場合には、損害賠償額の算定において損益相殺的な調整が行われることになります。

気を付けてほしい点(勘違いしやすいポイント)

  • 障害等級の繰上げは「8級以上→2級繰上げ」「5級以上→3級繰上げ」
  • 年金給付は支給事由が生じた月の「翌月」から開始
  • 未支給保険給付は相続ではなく遺族が「自己の名」で請求
  • 遺族補償年金は「被扶養利益の喪失」を補填する給付

補足
労災保険法の選択式では、条文の数値(等級・年数・期間)や判例のキーワードがそのまま穴埋めで出題される傾向があります。数字と用語をセットで覚えておくと得点しやすくなります。

社会保険労務士試験での出題パターン

社労士試験の労災保険法では、障害等級・年金給付の開始時期・未支給保険給付の扱いなどの条文知識に加え、遺族補償年金の法的性質など判例知識が組み合わせて出題されることが多いです。特に選択式では数字やキーワードを正確に記憶しているかが問われます。

まとめ

  • 障害が複数ある場合は等級繰上げ規定が適用される
  • 8級以上が2つ以上で2級繰上げ、5級以上が2つ以上で3級繰上げ
  • 年金給付は事由発生月の翌月から支給開始
  • 未支給保険給付は遺族が自己の名で請求
  • 遺族補償年金は被扶養利益の喪失を補填する
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