※本情報は解説作成時点のもので、閲覧時点では法改正等により情報が変更になっている場合がございます。あらかじめご理解いただければ幸いです。
正解は「4.Aが、期限が到来しているBの悪意による不法行為に基づく金1,000万円の損害賠償請求債権をBに対して有している場合、Aは本件契約に基づく返還債務をBに対する当該損害賠償請求債権で相殺することができる。」です。
民法では、相殺の対象となる債権について一定の制限がありますが、悪意による不法行為に基づく損害賠償債権の場合は相殺が認められます。
この記事では、宅地建物取引士資格試験 令和7年度|問4 過去問解説「担保物権と相殺」について、民法の規定と判例を基に試験対策としてわかりやすく解説します。
相殺の基本
相殺=同種の債権が対立するときに相互に消滅させる制度
民法505条では、当事者が互いに同種の債務を負担している場合、一定の要件を満たせば相殺することができると定めています。
ただし、不法行為による損害賠償債権については制限があり、被害者保護の観点から相殺が認められない場合があります。
不法行為と相殺(民法509条)
悪意の不法行為による債権=相殺できる
民法509条では、不法行為による損害賠償債権については相殺を制限していますが、これは加害者が自らの責任を免れることを防ぐ趣旨です。
しかし、悪意による不法行為の場合には、被害者側が相殺することは認められています。
そのため、本問のようにAがBの悪意による不法行為に基づく損害賠償債権を有している場合には、貸金返還債務と相殺することが可能です。
他の選択肢が誤りの理由
- 1:不動産には質権を設定することも可能であり、抵当権のみしか設定できないとする記述は誤りです。
- 2:留置権は「その物に関して生じた債権」であることが必要であり、単なる金銭消費貸借契約の債権では成立しません。
- 3:金銭消費貸借契約による貸金債権には、債務者の総財産に対する先取特権は認められていません。
問われているポイント
この問題では、担保物権(質権・留置権)と債権の回収手段、さらに相殺の可否について理解しているかが問われています。
宅建試験では、担保物権と相殺制度の基本的な仕組みが頻繁に出題される重要テーマです。
気を付けてほしい点(勘違いしやすいポイント)
- 留置権は「その物に関する債権」が必要
- 金銭消費貸借の債権には先取特権はない
補足
宅建試験では担保物権の成立要件や適用範囲を問う問題が多く、条文の趣旨を理解して整理しておくことが重要です。
宅建試験での出題パターン
宅建試験では、担保物権の種類(抵当権・質権・留置権)や相殺制度など、債権回収に関する基本制度を比較する問題がよく出題されます。
それぞれの成立要件と適用範囲を整理して覚えておきましょう。
この知識が使われている問題
まとめ
- 相殺は同種の債権が対立するときに成立する
- 悪意による不法行為の損害賠償債権は相殺が可能