実生活で役立つお金の知恵袋|相続・贈与編

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はじめに

相続・贈与は、ただ財産を渡すだけではありません。誰に何を、どのタイミングで、どう渡すかで、税金の負担や家族間のトラブルを大きく変えることができます。この章では、相続税や贈与税の基本から節税のポイント、遺言書の活用法まで、円満で賢い財産承継のために必要な知識をわかりやすく解説します。

生徒 生徒

先生、親が亡くなったら財産ってどうやって分けるんですか?税金もかかるって聞きました…。


先生 先生

そうだね。相続や贈与は、家族間のトラブルや税負担を避けるために正しい知識が必要なんだ。何も知らないままだと、思わぬ税金や争いに巻き込まれることもあるから注意が必要だよ。

ポイント

まず押さえたい相続・贈与の基本

  1. 相続税や贈与税が誰にどれだけかかるのかを理解する
  2. 控除や非課税制度を上手に活用することで節税できる
  3. 遺言書や生前贈与を計画的に活用し、家族トラブルを防ぐ

第1章 相続税の基礎知識と節税のポイント

生徒 生徒

先生、相続税って誰にどれくらいかかるんですか?うちの家族もかかるんでしょうか…。


先生 先生

相続税は財産の合計額と相続する人の人数によって変わるんだ。まず基礎控除という非課税の枠を超えた分に課税される仕組みだよ。家族によっては全くかからない場合もあるんだ。

相続税の基礎控除

相続税には基礎控除額があり、以下の計算式で算出されます:

基礎控除額 3,000万円 + (600万円 × 法定相続人の数)
先生 先生

例えば、法定相続人が3人なら、3,000万円 + (600万円 × 3) = 4,800万円まで非課税となりますね。

控除や非課税制度の紹介

ポイント

節税の基本を押さえよう

  1. 配偶者控除:配偶者が相続する場合、1億6,000万円または法定相続分まで非課税
  2. 小規模宅地等の特例:居住用・事業用の宅地は評価額が最大80%減額される場合あり
  3. 未成年者控除・障害者控除:相続税の負担を軽くできる制度もある

配偶者控除(1.6億円まで非課税)の仕組みと具体例

生徒 生徒

先生、「配偶者が相続する場合は1.6億円まで非課税」って聞いたんですけど、これは妻が全部もらえるってことなんですか?


先生 先生

いい質問だね!実は「配偶者の税額軽減」という制度があって、配偶者が相続する分については配偶者の法定相続分までか1億6,000万円まで次のどちらか多い金額まで非課税になるんだ。つまり「全部非課税」というわけじゃないけれど、大きく優遇されているんだよ。

具体例:資産3億円、相続人は「妻1人+子2人」

このケースでは、法定相続分は以下の通りです。

相続人 法定相続分 3億円の場合の金額
1/2 1億5,000万円
子(長男) 1/4 7,500万円
子(次男) 1/4 7,500万円
生徒 生徒

なるほど!じゃあ妻が1億5,000万円までなら非課税ってことですね?


先生 先生

そうなんだけど、実は妻が1億6,000万円までは非課税なんだ。だから「法定相続分(1.5億円)」より多くても、1.6億円までは非課税になる。

非課税枠を最大限活用する分け方

前提条件
  1. 総資産:3億円
  2. 法定相続人:妻1名+子2名(計3人)
  3. 基礎控除:3,000万 + 600万×3 = 4,800万円
  4. 配偶者控除:妻は1.6億円まで非課税

例えば、次のように分けると税金が抑えられるよ。

相続人 相続額 比率 課税
1億6,000万円 53% 非課税(配偶者控除)
子1 7,000万円 23.5% 一部課税(基礎控除2,400万超)
子2 7,000万円 23.5% 一部課税(基礎控除2,400万超)
合計 3億円 100% 課税対象は子ども分の9,200万円のみ
ポイント
  1. 妻は配偶者控除で1.6億円まで非課税
  2. 子どもには基礎控除(4,800万)を按分→子1人あたり2,400万円まで非課税
  3. 子ども分7,000万円ずつは基礎控除を超えるため課税対象(課税額4,600万円×2)
  4. このケースの相続税合計は 約2,760万円
生徒 生徒

じゃあ「妻に1.6億、子どもに7,000万円ずつ」だと子どもに相続税がかかるんですね?

先生 先生

そうだね。子ども分の非課税枠は1人あたり2,400万円までだから、超えた分は課税対象になるよ。妻は配偶者控除で非課税だから、課税額は子ども2人分のみになるんだ。

遺産分割の注意点

生徒 生徒

遺産をどう分けるかも税金に関係するんですか?


先生 先生

うん、相続税は誰がどの財産を受け取るかで変わるから、遺産分割の方法をあらかじめ決めておくことが大事だよ。特に不動産や株式などは評価額が高くなるので、均等に分けるより節税できる場合もあるんだ。

まとめポイント

この章で押さえておきたいこと

  1. 相続税は基礎控除を超えた財産に課税される
  2. 配偶者控除や小規模宅地等の特例などの制度を活用
  3. 遺産分割の方法によって節税できる

第2章「生前贈与でスムーズに財産を渡す方法」

相続対策の代表的な方法のひとつが「生前贈与」です。
生きているうちに財産を少しずつ移すことで、相続税の負担を減らし、家族間のトラブルを回避する効果があります。 ここでは贈与税の仕組み・非課税枠の活用・トラブル回避のコツを解説します。

生徒 生徒

先生、生前贈与って「お金をあげればその分、税金が安くなる」ってことですか?


先生 先生

そう簡単にはいかないんだ。贈与税という税金があるからね。ただし、年間110万円までの基礎控除や、教育資金贈与の特例などをうまく使えば、節税につながるんだよ。

1. 贈与税の仕組みを理解する

贈与税は、1年間(1月1日~12月31日)で受け取った金額を合計し、基礎控除110万円を超えた部分に課税されます。例えば、親から子へ200万円を贈与した場合、課税対象は90万円になります。

贈与額 課税対象額 税率 贈与税額
200万円 90万円(200万-110万) 10% 9万円
500万円 390万円 15% 約58.5万円

2. 年間非課税枠の活用法

贈与税の年間110万円の基礎控除を利用し、毎年少しずつ財産を移転するのが定番の方法です。例えば、子どもが2人いれば、それぞれに110万円まで贈与できるので、毎年220万円を無税で移せることになります。

ポイント
  1. 暦年贈与をコツコツ続ける
  2. 教育資金・結婚資金・住宅取得資金の特例非課税枠を活用
  3. 贈与契約書を作成して「もらった証拠」を残す

3. トラブル回避のポイント

生前贈与は「もらった・もらってない」というトラブルになりやすいので、次の工夫が大切です。

ポイント
  1. 贈与契約書を作成し、署名・押印を残す
  2. 振込で贈与して証拠を明確に残す
  3. 特定の子だけに贈与する場合は、将来の遺留分トラブルに注意
生徒 生徒

先生、じゃあ「毎年110万円ずつ贈与しておけば安心」ってことですか?


先生 先生

それも有効な方法だよ。ただし「相続開始前3年以内の贈与」は相続財産に持ち戻されるんだ。だから、早めに準備を始めるのがポイントなんだよ。

生前贈与に関するまとめ

生前贈与は、相続税対策の切り札です。ただし、制度を理解せずに行うと逆に税金負担が増えるリスクもあります。暦年贈与+特例非課税の活用+契約書・振込での証拠作りを意識して、トラブルなく財産をスムーズに渡しましょう。

第3章:遺言書の書き方と効力、トラブルを防ぐ方法

生徒 生徒

先生、遺言書ってやっぱり必要なんですか?ニュースで「相続争い」をよく耳にしますけど…。


先生 先生

そうだね。遺言書があるかどうかで、残された家族の負担は大きく変わるんだ。
遺言書には法的な効力があり、遺産の分け方を明確にできるから、争いを防ぐことにつながるよ。

1. 遺言書の種類と特徴

1.自筆証書遺言

  1. 自分で全文を手書きする遺言。費用がかからず手軽だが、形式を守らないと無効になる可能性がある。
  2. 2020年からは法務局での保管制度が利用可能になり、改ざんや紛失のリスクが減少。

2.公正証書遺言

  1. 公証役場で公証人に作成してもらう遺言。形式不備で無効になるリスクがほぼなく、安心度が高い。
  2. 遺言内容を秘密にしたまま、公証人に存在を証明してもらう方式。利用は少ない。

3.秘密証書遺言

  1. 手数料がかかるが、相続争いを防ぐためには最も有効。
生徒 生徒

公正証書遺言が一番安心そうですね。でも費用がかかるのはデメリットですか?


先生 先生

確かに費用は数万円ほどかかるけれど、家族が争うリスクを考えると安い投資だと思うよ。

2. 遺言書の書き方の基本

最低限、以下の項目を盛り込むとスムーズです。

  1. 日付(例:2025年10月9日)
  2. 氏名(署名)と押印
  3. 具体的な遺産の分配方法(例:「自宅は長男に相続させる」など)
  4. 遺言執行者の指定(相続を円滑に進めるための役割)

3. トラブルを防ぐ工夫

遺言があっても、遺留分(一定の相続人に最低限認められた取り分)を無視すると、争いになることがあります。
そのため、以下のような工夫が有効です。

  1. 遺留分を考慮した内容にする(例えば、特定の子に多く渡す場合は理由を添える)
  2. 家族に生前から説明しておく(突然知らされると不満が出やすい)
  3. 専門家に確認してもらう(弁護士や司法書士にチェックしてもらうと安心)
生徒 生徒

先生、遺言書って「残す人への最後の手紙」みたいな感じです。


先生 先生

その通りだよ。形式を守ることも大事だけれど、気持ちを込めて書くことが、結局は家族の絆を守る一番の方法なんだ。

まとめ:相続・贈与で押さえておきたい重要ポイント

この章で学んだことを整理すると、相続・贈与の基本から生前対策、遺言書まで、家族の円満な財産承継に必要な知識が見えてきます。

ポイント1:相続税の仕組みを理解する
  1. 相続税は基礎控除を超えた財産に課税される
  2. 配偶者控除や小規模宅地等の特例を活用することで大幅な節税が可能
  3. 遺産分割の方法によって課税額が変わるので、誰が何を受け取るかを計画することが重要
ポイント2:生前贈与でスムーズな財産移転
  1. 年間110万円までの基礎控除を利用して少額ずつ贈与する暦年贈与が基本
  2. 教育資金、結婚資金、住宅取得資金などの特例非課税枠も活用可能
  3. 贈与契約書や振込履歴で証拠を残すことで、トラブル防止になる
  4. 相続開始前3年以内の贈与は相続財産に持ち戻される点に注意
ポイント3:遺言書でトラブル回避
  1. 遺言書の種類:自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言
  2. 最低限記載すべき項目:日付・署名・押印・遺産の分配方法・遺言執行者
  3. 遺留分や相続人の理解を考慮し、専門家にチェックしてもらうと安心
  4. 遺言書は形式だけでなく、気持ちを込めて書くことが家族の絆を守るポイント
生徒 生徒

なるほど!相続や贈与は単に財産を渡すだけじゃなくて、税金や家族関係も考えないといけないんですね。


先生 先生

その通り!基礎控除や配偶者控除、生前贈与や遺言書の活用を組み合わせることで、賢く、円満に財産を承継できるんだ。早めに準備することが何より大切だよ。

このまとめを参考に、次のステップとしては具体的な財産目録の作成専門家への相談を行い、実際の相続・贈与プランを作っていくと安心です。

先生 先生

いかがでしたでしょうか。今回のコラムが、制度やお金について考えるきっかけになっていれば幸いです。お金や働き方の悩みは、制度そのものよりも「誰に相談したらいいか分からない」ことが一番の不安になりがちですよね。 私たちはキャリアや働き方に悩む方が、自分らしい選択をできるよう支援する活動も行っています。もし「今の働き方、このままでいいのかな?」と感じたら、お気軽にご相談お待ちしています!

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